相思相愛?
夢うつつでベッドに横たわっているのはタリア。傍らのギルバートはもう夢の世界に入っているようだった。
タリアがギシッと寝返りを打って、ギルバートの方を見る。
整った顔立ち。何度見ても綺麗だと感心していた。
「綺麗な顔。…何を考えているのか解らないけれどね」
政治を行うものはポーカーフェイスが必要だが、どうも彼はかなり上手いらしい。今脇に居るタリアでさえも心中で何を考えているのか解らないのだ。
じっと見ていると気配を感じたのかギルバートがうっすらと目を開けた。
「私の顔に何か付いているのかい?」
「いえ」
別に、と言ってタリアは身を起こしすっと立ち上がった。
「何処へ行くんだい?」
「仕事ですわ。早く行かないとアーサーが疲れてしまうわ」
軍服を羽織るタリア。
「私の前で、他の男と仕事の話は厳禁じゃなかったかい?」
不敵な笑みを浮かべるギルバート。そんな事言ったかしら?としらばくれても無駄だった。
「ん…っ」
いささか強引に奪われた唇。それは全てを多い尽くす様なものだった。
「ギル、仕事に戻れないわ。離して下さらない?」
ようやく離された唇。タリアはまたベッドに逆戻りしてしまった。焦っているタリアとは対称的にギルバートは全く悪びた様子を見せずに笑っている。
しかしすぐギルバートは真剣な面持ちで言った。
「タリア。君は以前『私、不安なの。貴方が何を考えているのか解らない』と言ったのを覚えているかい?しかし今は私が君が何を考えているのか解らない。その…不安なんだよ」
「ギル…」
御免なさい、と呟くタリア。彼女の手がすっと上に上がる。ギルバートの頬に触れた手は微かに震えていた。
「考えている事が同じなんだな」
自然と2人の顔が近づいていった。
「…私の事、全く好きではないと言う訳じゃなかったのね…」
そう思いながら、タリアはそっと目を閉じた。
~その頃のアーサー~
「もう交代の時間過ぎているのに、艦長来るの遅いなぁ。どうしたんだろ?」
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