「ムウ」…愛しい人の名前。もう、彼のいない日々など想像もできない。なのに…

MIA
 私には恋人がいた。彼のことを愛していた。ずっと一緒にいたいと思った。
 しかし、彼は私の目の前から消えてしまった。その時私はもう彼以上に愛せる人はいないだろうと思った。これまでずっと一人でやってきた。
 でも、私は彼を…ムウを愛してしまった。別に彼を忘れたわけではない。しかしムウのキスに私は素直に応じることができた。
 彼は私を一人にしないでくれる、そう思った。
 けれど、所詮その愛は戦場で育まれたもの。ムウは死んでしまった。私の目の前で、私の命を救う代わりに。いっそうのこと自分も彼と一緒に死んでしまえばよかった。人は一緒に死なないとあの世で会えないそうだ。私は愛する人ともう二度と会えないのだろうか…
「大丈夫……すぐに戻ってくるさ。勝利とともにね」
この言葉が私の胸の奥に突き刺さっている。そう言ったのに帰ってこなかった。私は人を愛することを禁じられているのか…

「ムウー!!」

 さっきまで彼のいた場所に叫んでも、もう彼からの返事は無かった。



君を守りたい―俺の思いはそれだけだ…

「MIA」…未確認の戦死。俺は今こう思われているのだろう。
 あの時、俺は死ぬ覚悟で突っ込んでいった。なのにまだ生きている。まったく未練たらしい奴だ、俺は。自嘲の笑みが浮かぶ。
 でも…生きているならもう一度君に会いたいきっと君は泣いているのだろう?だから行って君を安心させたい。
 君に一番似合うのは笑顔だ…
 今すぐ行きたい。でも意識が遠のいていく。
 会いに行くよ…

「マリュー」



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