私は軍人。今戦争をしているから、戦うの。でも何故?

戦い

 シフトが休憩時間に入った為、マリューは艦長室で資料の整理をしていた。そこに来客を知らせるブザーが鳴った。誰かしら?と思い、ドアを解除する。バジルール中尉が入ってきた。
「艦長。この間の戦闘の報告書を持って参りました」
「ありがとう。そこに置いておいて」
 ナタルは机の上に報告書を置く。用件が済んだので去って行こうとするナタルにマリューは尋ねた。
「ねぇ、ナタル。私達は何故戦っているのかしら?」
「…何を今更おっしゃっているのでしょう。私達は自軍に勝利をもたらす為に戦っているのではないでしょうか?」
「それは『バジルール中尉』としての答えよね。『ナタル』としてはどう?」
「同じです。それ以外に何があるとおっしゃいますか?」
「何も無いわ。引き止めてしまって悪かったわね」
 ナタルは何事も無かったかのように去って行った。マリューはどこか悲しげな顔だった。

「『ラミアス少佐』としてだったら、ナタルのいう通りよね。でも、『マリュー』として考えるとそうは思えないの。『平和を得る為、何かを守る為』に私は戦っているの。そう考えるのはおかしいかしら?」
 マリューはメビウス・ゼロについての報告書を持ってきたムウに言った。
「バジルールはバジルール。艦長は艦長だ。それぞれが思うように戦えばいいんじゃねぇの?」
「そうかしら。同じ艦で戦っている以上、考え方は同じのほうがやりやすいと思うの」
「でも艦長はバジルールの意見は反対なのだろう。同じものと戦っていてもその人が置かれている状況によって皆考え方は違うさ。あまり考えすぎるなよ。俺はもう行くぜ。10分したら戻るって行ってきたもんでな」
「話、聞いてくださって、ありがとうございました」
 どう考えていても、皆戦争を終わらせたいに違いない。マリューはそう思った。私達はもうすでに戦いに身を投じている。だから戦い続けるしかないのだ。戦争を終わらせる為に。



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